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関東で装備やってます。PJメインで他にODAとレンジャー。完全再現を目指したいけどお金がない…。
サバゲ―はあんまり行きません。タイミングなくてお座敷で満足しています。
現代であればミリタリーネタ全般好きです。

2017年09月26日

Air Support Operations Squadron

前回の記事でSTSについて書きました。STSは「特殊」つまりSOCOM隷下の部隊に対して空軍の能力を提供するのが任務ですが、では一般部隊に派遣されるのはどの部隊になるのでしょう。
答えは前回も書きましたが、Air Support Operations Squadron,ASOSです。日本語では航空支援作戦中隊とでも訳しましょうか。
Air Support Operations Squadron
ASOSの主任務は陸軍一般部隊と共に行動し,航空支援を行う航空機及び砲兵部隊の火力を誘導することです。陸軍の部隊が戦闘中に航空支援を要請するときは、派遣され一緒に行動しているASOSのJTACなどが上空の航空機を誘導し目標を指示します。

ASOSは戦術航空統制班(Tactical Air Control Party,TACP)、航空連絡士官(Air Liaison Officer,ALO)、統合末端攻撃統制官(Joint Terminal Attack Controller,JTAC)、ラジオマン(Radio Operator Maintainer and Driver,ROMAD)などで構成されます。STSと違いPJは所属していません。戦闘時に負傷者が出れば陸軍部隊のメディックが処置する他はありません。またCCTも所属していないので前線での航空管制などはできません。ASOSの任務はあくまでも火力誘導に限られます。

混乱してほしくないんですがTACPはあくまでもParty、つまり班です。またJTACは認定資格であり、隊員はこの資格を取得することでJTACと呼ばれるようになります。またJTACやJTACの資格を取る前の隊員は空軍のMOS(AFSC)に合わせて1C4や1C4X1と呼ばれたりもします。そしてALOやROMADはその隊員自身の役職を表す単語です。ALOやJTAC(1C4)、ROMADが何人か集まってTACPを構成します。
ついでにJTACとROMADの違いも整理しておきましょう。彼らのすることはほぼ同じで航空機の誘導や航空支援の要請をします。装備もあまり変わりません。
しかし最大の違いは「Cleared HOT」の指示を航空機に出せるかどうかです。Cleared HOT、つまり航空支援を要請し、最終的に爆弾投下を指示できるのはJTACだけになります。ROMADはできません。
よって基本的な役割分担としてはROMADが戦闘地域まで航空機を誘導し、JTACがその誘導を引き継いで目標を指示し航空支援を実施する形です。ALOも同様にJTACの資格を持っていないとCleared HOTはできないので、ALOの中にはJTACの資格を取る人もいます。
CCTは別です、彼らはCCTの訓練課程で爆弾投下指示から航空管制まであらゆることができるように教育されます。またCCTの訓練課程はJTACの訓練課程とほぼ同じ内容が含まれているので、CCTの中にもJTACの資格を取る人がたまにいます(取らなくてもできることは変わらない)。

組織の話です。
ASOSは一般部隊ですのでSOCOMの指揮下にはありません。彼らは空軍の大元締めである航空戦闘軍団(Air Combat Command,ACC)に所属しています。
Air Support Operations Squadron
ACCはアラスカを除くアメリカ国内のほとんどの実戦部隊を管轄している司令部であり、戦闘飛行隊や救難飛行隊、偵察飛行隊などもこのACCの傘下にあります。
そしてACCの下でASOSなどの地上戦闘部隊を管理しているのが93rd Air-Ground Operations Wingになります。

Air Support Operations Squadron
この93d AGOWの下に1、3、4、18の各Air Support Operations Groupがあり、その隷下にほとんどのASOSが配置されています。93dの指揮下にない部隊もいくつかありますが、元をたどればすべてのASOSはACCの指揮下にあります。
各ASOSは部隊により担当する陸軍の師団や旅団が決まっており、例えば14th ASOSは第82空挺師団、10th ASOSは第1歩兵師団、20th ASOSは第10山岳師団などとなっています。これに従いASOSの所在地も担当する師団の本部が置かれている陸軍基地になります。
どのASOSがどの師団を担当しているのか詳しくはウィキペディアを見てください。

Air Support Operations Squadron
2011年にアフガニスタンでパトロールを行う陸軍第45歩兵旅団戦闘団と、彼らにアタッチする146th ASOS。ともに州兵。

陸軍部隊がアフガニスタンなどに派兵される際、その部隊を担当するASOSも共に派遣されます。上の写真の場合だと第45歩兵旅団と共に20名のJTACなどで構成するTACPが派遣されたそうです。

基本的に陸軍と行動するため、ASOSの隊員の装備は陸軍に準じていることが多いです。ACHヘルメットにIOTVやSPCSなどのプレートキャリア。服も空軍のABUかMASSIFなどのコンバットシャツを着用しています。
しかしはっきりとした違いもあります。まず味方から誰が空軍の隊員か分かる様にするため、JTACやTACPなどのパッチを必ず貼っています。また航空機と交信するためPRC-117Gを背負ったり、PRC-152や148を持っています。コムタックを装着していることも多いです。

Air Support Operations Squadron
2011年、第10山岳師団の第3歩兵旅団戦闘団に派遣された807th Expeditionary ASOSの隊員(右側)。左は第3歩兵旅団戦闘団長。陸軍と空軍という違いがあるにも関わらず2人の装備はあまり変わらない。

しかし最近は空軍特殊に引けを取らないレベルまで装備が進化しています。オプスコアのバリスティックヘルメットにCryeのコンバットアパレル、AVSやJPCにジャガーノートケースなど、一般部隊としては考えられないほど良い装備を使っています。これも統合作戦を進める上で地上と上空を繋ぐTACPの重要性が増してきたからだと思われます。
Air Support Operations Squadron
2016年にミシシッピ州ガルフポートで訓練を行う238th ASOS。真ん中右はマルチカムに塗装されたバリスティックにCrye G3のコンシャツ、CPCを着用。左はACのフィールドシャツにJPC。一番右の人はAOR1を着ていますが、何者だこいつ?238は州兵です。

以上です。アメリカ軍の統合作戦能力はかなり進んでいます。空軍の部隊が陸軍の基地に同居するなんて一昔前じゃ考えられませんでしたからね。それだけ航空支援は絶大な力を持ち、地上と上空を繋ぐASOSがいかに重要な存在かということが分かります。
ちなみに装備の話で言えばASOSの装備ってわりと楽なのではないでしょうか(やる人がいるかは置いといて)。最近の装備なら空軍特殊や陸軍特殊の装備を使いまわせますし、ちょっと前なら陸軍一般の装備にラジオとアンテナを揃えるだけ。あとはTACPかJTACのパッチを貼れば完璧です!()
というのは流石に雑ですが、実際アンテナやラジオを揃えればそれっぽくは見えます。装備のバリエーションとして一ついかがでしょうか。





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Posted by POPE at 21:13│Comments(2)部隊解説
この記事へのコメント
初めまして。コメントさせていただきます。
空軍系のブログが少ない中、非常に勉強になります。

一番最後の写真のところ。AOR1着ているのはSealsの方ではないでしょうか。「Southern Strike 17」に参加した部隊を調べると「Naval Special Warfare Team」という記載がありました。
(よく見ると真ん中の方の股の間にAOR2のベストを着ている方もいらっしゃいますね)
Posted by 通りすがりのCCT新兵 at 2017年09月27日 12:54
>通りすがりのCCT新兵様

ありがとうございます。
やはりそうでしたか!PatagoniaのAOR1なんてSEALsくらいしかいないだろうなと思っていました。
それにしても州兵の訓練にSEALsが参加するというのは面白いですね。それだけ空軍との共同訓練の機会が限られているということかもしれませんが…。
Posted by POPEPOPE at 2017年09月30日 14:37
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